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〜心の根っこ〜
今回は、「心の根っこ」というテーマでお話ししていきたいと思います。
皆さんは一度失敗して、もう一度やり直そうと決断した後に、また同じミスを犯してしまったという経験はありませんか?どれだけ直そうとしてもなかなか直すことができない。そして、最終的にはもうそれは自分の性格だから、それは自分の生まれつきだからと言って直すのを諦めたりしたことはありませんか?
今回はこのような悩みに対してどのように対処していけば良いのか、聖書から見ていきたいなと思います。
最初に聖書の箇所を一緒に見ていきたいと思います。今回の聖書の箇所はヘブル人への手紙12章15節です。お読みいたします。
そのためには、あなたがたはよく監督して、だれも神の恵みから落ちる者がないように、また、苦い根が芽を出して悩ましたり、これによって多くの人が汚されたりすることのないように、
今回はこの御言葉から分かち合っていきたいと思います。
ある男性がカウンセルを受けにやってきました。カウンセラーが
「今回はどのような悩みでしょうか?」と話を切り出すと、男性はうつむき加減でこう答えました。
「私には妻や子供がいるのですが、何は私がイラっとするとすぐに手が出てしまうのです。本当はしたくないと思っているのですが、気がついたら暴力をふるってしまいます。私にはどうしたらいいのかわかりません。何度も直したい、辞めたいと決断しているのに、何度も繰り返していまします。その度に自分の心が痛くて、どうしたらいいかわからなくて相談にきました。私はどうしたらいいでしょうか?」という悩みでした。
カウンセラーは一通りその男性の話を伺うとこのように話を切り出しました。
「あなたは小さい頃暴力を振るわれていたことはありませんか?親だったり、友達からだったり、そのような記憶はありませんか?」
男性はこう答えました。
「はい、あります。私はずっと両親から暴力を受けて育ってきました。大人になったら、決してこのような親にはなりたくないと決断していたのを覚えています。でも実際私が親になって、こうして妻や子供に暴力をふるっているのですから、なんとも情けない話です。」
カウンセラーはその男性にこのようにアドバイスしました。
「話はよくわかりました。本当に辛かったですね。一つ解決策があります。少し難しいかもしれませんが、挑戦してみてください。それは、あなたの両親を赦すことです。」
その男性はびっくりしました。親を赦したら、自分の暴力がなくなるのだろうかと。半信半疑でしたが、その男性はそのチャレンジを受け取りました。そして実行したのです。自分の両親を赦すという決断をしました。その時から、男性は妻や子供に暴力を振るわなくなったそうです。
聖書には、種まきの法則があると教えます。私たちの心に悪い種が蒔かれれば、いずれそれは、悪い実を結びます。逆に良い種が蒔かれれば良い実を結びます。私たちは小さな頃悪い種が蒔かれた時その時にはわからなかったけれども、成長して、大人になった時に悪い種から成長した悪い実が、私たちを悩ませます。もし何度も同じことを繰り返しているとするならば、それは、悪い根があるためだと思います。
今回の御言葉にも
苦い根が芽を出して悩ましたり、これによって多くの人が汚されたりする
と書いてあります。私たちはまずこの悪い根を取り除く必要があるのです。
ではどうしたら、この悪い根を取り除くことができるのでしょうか?まずこの根をとるには、その根が見えるところまで掘り起こす作業が必要です。これは本当に大変な作業です。昔の苦い思い出を掘り起こすという作業になるので、心が痛みます。思い出すだけで、涙が溢れてくることがあるかもしれません。この作業を行うには協力者がどうしても必要です。一人ではこの根を掘り起こすという作業はあまりにも過酷で大変だからです。思い出すたびに、また根を掘り起こすたびに一緒に祈ってもらう仲間が必要です。
根を発見することができたら、次はその根を抜く作業が必要になります。実際の行動として行うこととするならば、手放すという表現が的確かもしれません。つまり、放棄するということです。先ほどの男性の話を例にあげるとするならば、男性は赦すことを決断しました。両親に対して憎む心その悪い種から生えてきた悪い根を取り除くために赦す必要があったのです。しかし、一度赦す決断をしてしまえば、もうその根はないので、悪い実を結ぶことはありません。
根を掘り起こす作業の中で、今まで見たことのない根を見つけるかもしれません。それは自分では気づかなかった根で、もしかしたらこれが、原因で直したいのに直せない、何度も同じことを繰り返してしまう、といったことが起きているのかもしれません。この最初に掘り起こす作業がたくさん必要な場合もありますけれども、その度に新しい根を見つけて抜くという作業を繰り返しているうちに、自分の心の中にある悪い根がどんどんなくなっていきます。
悪い根がなくなったら、そこに大きな穴ができますよね。その穴には何を入れたらいいでしょうか?そうです。わたしたちはその悪い根があった場所に良い種を植え直すことができます。そしたらその根は成長して良い実を結ぶのです。
では、その良い種とはなんでしょうか?たくさんあると思いますが、今回は具体的に4つ提案したいと思います。一つ目は「与えること」。二つ目は「感謝すること」。三つ目は「喜ぶこと」。四つ目は「隣の人を助けること」。神様は私たちに愛を与えてくださいました。その愛が種です。愛は隣人を愛することです。そのために私たちは造られました。新しい良い根が作られれば、素敵な花を咲かすことができます。今あなたの近くに助けを求めている人はいませんか?その人に何か与えるものを持っていませんか?それは別にお金や物だけではありません。一緒に過ごしたり、共に泣いたり、共に喜んだり、恵みを分かち合う。そのようなことができるならば、是非実行してみてください。それは、良い種としてあなたに植えられ、そして素敵な花を咲かすことができます。
最後に一人のお母さんの話をして終わりたいと思います。そのお母さんはいつも子供をガミガミ叱っていました。理由は子供が失敗するからです。子供はお母さんのためにお手伝いをします。でもその度に失敗してお母さんはイライラします。
「なんであなたはそんなことするの!」
「もういいから、あっち行ってて!」
そのように子供につらい言葉を投げかけていました。でもお母さんは自分は悪くない、子供が失敗するのが悪い。そのように思っていたのです。お母さんは時々、
「うちの子はいつもヘマばっかりする」
と友人に愚痴をこぼしていました。しかし、友人はお母さんにこう答えたそうです。
「もしかしたら、あなたに原因があるかもしれないわね。」
お母さんはハッとしました。今までそのようなことを考えたことがなかったからです。そして、あることを思い出したのです。自分の母親が完璧主義でいつもわたしを完璧に育てていたことを。失敗を赦さない母親だったことを思い出したのです。お母さんは子供を呼びました。
「今までずっと嫌なこと言ってきたことを赦して欲しい。」
涙を流しながら、子供に謝ったそうです。子供はびっくりしたけれども、心からお母さんを赦してあげました。
数日後、子供がお母さんのそばに行って、お手伝いしたいとお願いしました。お母さんは洗い物をしていたので、「じゃあこのお皿お願いね。」と言ってお皿を渡します。子供は一生懸命お手伝いをするのですが、手が滑ってお皿を床に落とし、割ってしまいました。子供はまた怒られる…そう思いながら、半べそかいて下を向いていました。でもお母さんはこのように言ったそうです。
「怪我はない?大丈夫?破片飛んでこなかった?あなたが無事でよかったよ」
と抱きしめてくれたんです。その時本当に子供は嬉しくて、わたしは愛されているんだと感じたそうです。
あなたは同じ失敗を繰り返して悩んでいませんか?もしあるならば、悪い根を取り除きましょう!神様はその悪い根を取り除く力があります。神様に祈って悪い根を取り除いてくださいと、一緒に祈りましょう。そしてその悪い根を取り除いたらならば、そこに良い種を植えましょう。新しい芽が出て素敵な花を咲かせます。神様は皆さんに新しい、素敵な花を咲かせてほしいと願っています。いつも心から神様に信頼して、悪い根を取り除いて行きましょう。
神様の祝福がありますように!